高知眼鏡商組合・楠瀬剛志組合長様への質問


     
高知眼鏡商組合・楠瀬剛志組合長様

         2006.6.16 ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会 岡本隆博 http://www.ggm.jp/ugs/

    高知眼鏡商組合の楠瀬組合長様に謹んでお尋ねいたします。
  1.もしも、ある眼鏡店がある眼科から処方箋客を紹介してもらう見返りとして、裏で何割かのキッ クバックを
    しているということがあれば、それは不明朗な利益供与だと言ってよいと思いますが、貴殿は、そういう行為
    に対してどう思われますでしょうか。

  2.こういう話は聞いたことがないので、まったく仮の話として、もしもある薬局のグループが、ある医療機関の
    グループから薬の処方箋客を紹介してもらう見返りとして、そこの医療機関の団体に対 して裏で売り上げ
    歩合のキックバックをしていたとしたら、これも、不当な利益供与にあたるし、その医療機関が公立の病院で
    あれば賄賂になると思いますが、貴殿はどう思われますでしょうか。

  3.ではもしも、上記の薬局グループが、同様の客に対してキックバックをする代わりに、その医療 機関の
    処方箋で薬を買った場合に、その薬が効果が少なくて別の薬に変えた場合に、その別の薬からは一定の
    割引をするということであれば、これは患者さんにとっては助かる話であり、その薬局グループも、
    それによって客が増え、医療機関も、それによって人気が出る、ということで三方めでたし ……のような
    感じですが、実はそれは医療機関と販売業者の癒着とも言える行為であり、店としては 自店の顧客を
    増やすべくなされたものであり、医療機関としては自分の人気を高めるための措置であり、こういうことは、
    たとえその医療機関が民間の経営であっても、医療法人としての税制上の特典を持ち、公益に奉仕すべき
    専門職である「医師」が仕事をしているところの、公的存在とも言える医療機関としては、そういう特定業者
    との癒着は社会的に非難されてしかるべきことであり、販売業者 から医療側への不当な利益供与であると
    言えるでしょう。 (その医療機関が公立であれば、その医療機関の人気とりに民間の業者がそういう形で
    協力するのは 間接的な賄賂だと言えるでしょう) もしも、その販売業者が「賄賂などと言われる筋合いはない。
    当社は顧客に対して単に奉仕的な価格 政策をとっているだけだ」というのであれば、特定の医療機関の処方
    箋客だけにその割引措置を限定 するのはおかしいわけです。 貴殿はそう思われませんでしょうか。

  4.ある眼科において、ある患者さんに眼鏡処方をして、それによって調製したメガネに対して患者 さんから
    クレームが来て、眼科で再検査と再処方をした場合に、それが医療の一環として行われたも のであれば、
    眼科に過誤がない限り、その入れ替えレンズの費用は当然ながら患者が負担するべきで あるし、処方ミス
    (医療過誤)なのであれば、眼科が負担するべきですし、場合によってはそれ以上 の賠償もすべきでしょう。
    医療とはそういうものです。医療の結果に対して医療機関は責任はなく、あくまでも診断や治療の内容に
    過誤があるかどうかが問われるのが医療なのですから。 貴殿はそう思われませんか。思われないのならば、
    理由をお聞かせください。

  5.当方のネットサイトにもいろいろな事例が載っていますが、眼科の検査で斜位を見逃して疲れやすいメガネを
    処方する例がよくあります。そういう処方をなした者は、医療過誤をおかしたのでしょ うか。
    そうではないのでしょうか。

  6.貴店では、矯正するべき斜位を矯正していない眼科の処方箋でメガネを作り、それで眼精疲労が あったとしても、
    自店で処方したものではないから責任はお感じになりませんよね。 それで、もしも貴店でその人を測ってみて、
    斜位があり、それを矯正したら楽でよく見えるようにな った、という場合もあるかもしれません。
    その入れ替えレンズを無料になさるのかどうかはわかりま せんが、それでもなお、以後も、その眼科の処方箋に
    対して尊重の姿勢(とりあえず、そのとおりに作る)を変えませんか。

  7.しかし、処方責任をあいまいなものにし、しかも、眼科自身が入れ替えレンズの代金を負担する ことを嫌い、
    かつ、眼科の人気が落ちることも嫌って、「このメガネ店で作れば、再処方の作りなお しのレンズの料金は
    無料になる」という患者への利益誘導で、特定のタイアップ眼鏡店に患者さんを 勧誘(強く推薦)するという
    行為は、そのレンズ代金の負担が眼鏡店のみによってなされているので あれば、それは眼鏡店から眼科への
    利益供与(それによって処方箋客を自店へ引き込む)の結果であり、その利益供与によってその眼科から
    来た客に販売した商品の利益率は多少減っても、まったく初 めから客が来ないよりもましというそろばん勘定
    によるものに他ならないと私は思います。 それは一見、顧客にもメリットがあるようですが、そういう眼鏡店では
    タイアップ眼科から来た客は 「他店へは逃げない客」なので、他のお客さんには割引をするのに処方箋客には
    割引をしないとか、 値の張るものを勧める傾向があるとか、そういう店ではもともと割安の商品を置いていなか
    ったりす ることも多いと聞いています。(私の知り合いの眼科タイアップ店の人はそう言っていました。
    あと でレンズを無料で入れ直しをしないといけないかもしれないとなれば、安いものなど販売できないのでしょう。)
    貴店でも処方箋客に対してそういう価格的な対処をしておられるのかどうかは わかりませんが、貴店での
    処方箋客に販売するメガネ一式の平均売価はどの程度なのでしょうか。

  8.上記の7のことを、特定の眼科と特定のメガネ店ではなく、地域の一部のメガネ店グループ(小売組合など)と
    地域の眼科医会とが「ぐるみ」で行なった場合には、「ぐるみ」の利益供与や利益誘 導が行われていると言える
    のではないでしょうか。

  9.貴組合の店と、地域の眼科医会の所属の眼科とは「ぐるみ」で、私には理解しがたいサービスを行なっておら
    れるわけですが、そのサービスの始まる前から個々の店と眼科との結び付きの中で、
    「再処方レンズ無料入れ替え」のサービスや、あるいは別の表に出せない利益供与が行われているということ
    はないのでしょうか。

 10.眼鏡士というのは、単なる眼鏡商人でもなく、眼鏡技術者でもなく「士」ですよね。 すると「士」としての誇りと
    責任感があるはずです。 自らに何の責任もない再処方のメガネのレンズを、なぜ「士」としての誇りを捨てて
    無料で入れ替えるのですか。

 11.このホームページには、眼科の眼鏡処方のレベルやなぜそうなのかということがいろいろ説明 されています。
    こういう事実関係について貴殿はまったく知らなかったということはありませんね。 では、この事実に基づいて
    今後眼鏡処方箋の問題はどのようにしていけばよいのかという点で、我々と意見を異にするということはありますか。

 12.このホームページに書いてあるように、眼科は、その処方の結果にあとで文句が来る蓋然性が非常に低く、
    もしも文句がきても、処方ミスでない限りその眼の状態からして処方者が何ら責任を感 じなくてすむ、
    そういう「医療としての眼鏡処方」のみを行ない、そうではない処方、すなわち、眼鏡店で行なってもさしつかえ
    ないと眼科で判断できる内容の眼鏡処方は眼科ではしないようにすれば 、眼科は、しなくてすむ眼鏡処方に
    煩わされることなく、本来の医療に専心できるし、メガネ店もユーザー本位の眼鏡処方調製ができるはず
    なのですが、貴殿はそうは思われませんか。

 13.貴殿はなぜ自らあとで困惑するような事態になる蓋然性が少なからずあるところの「眼科処方による眼鏡調製」を、
    利益供与までして眼科に求めるのですか。貴店は顧客があとで困ることになっ てもよいと割り切って、自分の店の
    利益を増やすために、公益に尽くすべき専門職が営む医療機関を 「利用」しているのですか? そうだとすれば、
    それは顧客のために商売をする姿勢からくるものだと言えるのでしょうか。(認定 眼鏡士の倫理綱領には
    「顧客の視力保護」が第一にうたわれていますよね)

 14.もしも、眼科の処方箋を持ったお客さんが貴店に来て「適当に測られた感じで、なんだかいまひとつ信用できない
    ので、貴店でもう一度測ってほしい」と言われたら、どうなさいますか。その理 由もお聞かせください。

 15.眼科処方で作ったメガネに対してクレームが来て、話を聞いたり、検眼をしたりして、別に眼に疾患があるわけ
    でもなく、単に度数の強弱の問題だとわかたっとします。それで「もうあの眼科へ はいかないから、ここで度数を
    決めて欲しい」と言われたら、自店で測って度数を決めますか。
    その場合、入れ直すレンズの費用はどうなさいますか。 そのことをその処方箋を発行した眼科に報告しますか。

 16.もしも、貴店で処方調製販売したメガネに対して、貴店にはまったく責任がない理由による度数入れ替え依頼が
    販売後5か月後にあって、貴店はそれに対して「有料でなら入れ替えできます」と 答えたとします。
    そう言われた人が「眼科の処方で作ったのなら、おたくに責任がなくても半年以内なら無料で入れ替えるので
    しょう。なぜ私にはそれができないのですか」と言ったら、貴殿はなんとお答えになりますか。

 17.「士」の誇りを捨てた眼鏡技術者は、「眼鏡士」と名乗るのはやめて「眼鏡屋」とのみ名乗るべし、それなら
    タイアップ商法も不思議ではないから……と言われたら、貴殿はどうお答えになりま すか。

        おわりに誤解のないように言っておきます。私は眼科と眼鏡店の協力関係はすべて善くないと
       言いたいのではありません。中には、利益供与ウンヌンは関係なく、
       もっぱら技術的な協力関係にある眼科と眼鏡店もあると聞いています。