その場合に、
完全な正乱視の眼であれば、
どういうことがいえるのか……
(「完全な正乱視の眼」とは、
眼の表面のいびつ度が規則的なもの、
と解釈してください)
先に図で示した放射線乱視測定視標でも、
乱視の軸度(角度)や
度数を比較的正確に測定することは
可能なのですが、
不正乱視
(角膜表面に不規則な
凹凸があると解釈してください)
が多少とも混じっている場合には、
乱視をいろいろに矯正しても
線の濃度がそろわなくて
矯正度数や軸度がなかなか判断できません。
この場合には、クロスシリンダーによる測定でないと、
もっともマシな乱視の軸度も
度数も測定ができないのです。
そして、
不正乱視が混じっている眼
(私自身もそうです)
はけっこう多く、
クロスシリンダー法を使えない測定者ですと、
的確な眼鏡処方は無理、
と言っても過言ではないと思います。
また、
クロスシリンダーを使う場合でも、
普通は+−0.25D
(乱視は0.50D)
か+−0.50D
(乱視は1.00D)
のどちらかのみを使って
測定している人が多いのですが、
実は、
その両者をうまく使い分けると、
より的確な乱視の検査ができるのです。
そして、
乱視の度数の検出精度としては、
普通は0.25D単位で検出し、
カルテへの記録もその刻みで
書いている人がほとんどです。
しかし、
クロスシリンダー法で測定すると、
たとえば、
乱視の度数が、0.50Dと0.75Dの中間だ、
というような検出もあるわけで、
その場合には、
カルテの完全矯正値の記録欄
(調製度数の記録欄ではない)
に、C−0.62Dと書いておけばよいのです。
これは0.12D刻みの検出だと言えるでしょう。
(2)乱視の軸度(角度)を正確に求めること。
眼科の発行した眼鏡処方箋を見ると、
乱視の軸度は90度(垂直)か
180度(水平)かのどちらかが非常に多く、
眼科では乱視の軸度をどの程度の精度で測定しているのだろうか、
という疑問を持たざるを得ません。
(中には、そうでない眼科もありますが)
眼科での乱視測定の軸度が今ひとつなのは、
クロスシリンダーを使わずに、
放射線乱視表を使って
乱視の測定検査を行なっているところが
多いからではないでしょうか。
しかも、
その放射線の刻みが10度刻みではなく
15度刻み、
ひどいところになると
30度刻みなんてのもあります。
それで、30°刻みの乱視表しかない代わりに
クロスシリンダーで測っているのかというと、
それも置いていない、
なんていう眼科もあります。
そういう状況なら、
正確な乱視軸を求めるのは到底無理です。
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乱視とメガネ
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