三重県北牟婁郡・メガネショップツモトさんへの質問 | |
三重県北牟婁郡・メガネショップツモト様 前田貢様・前田美恵子様 2007.1.5 眼鏡公正広告協会 岡本隆博 http://www.ggm.jp/gkkk/ 前略 私たちは公正な広告を通じて眼鏡業界がユーザーから信頼される業界になることを 念願して活動をしている団体です。 貴店のホームページ、http://www.ztv.ne.jp/fkci95f1/main.html(2007.1.5現在)の中の 「紫外線カットレンズ」のページに、疑問を感じる記述がありますので、ここに公開で質問を させていただきます。 以下、《 》内は貴ホームページ(HP)からの原文のままの引用です。 《UVカットレンズとも言います。これは人体に有害な紫外線を透過させない コーティングをレンズ表面に施します。(UVカット加工) 》 岡本 いわゆるUVカット機能を持つメガネレンズにおいては、レンズ表面のコーティングでUVを吸収するだけで はなく、紫外線を吸収する成分をレンズ素材の中にねり込んだものが最近は多いのですが、 そのことを貴殿はご存知ないのでしょうか。(質問1) 《UVカット加工を施すことにより、「UV-A」、「UV-B」ともレンズ表面で遮断することができます。 》 岡本 ゆえに、レンズ表面でのUVの遮断の他に、レンズ内部におけるUVの吸収作用についても 述べるべきなのに、ここでなぜこういう記述になっているのでしょうか。(質問2) 《UV-B 320nm以下の紫外線 肌を赤くする紫外線で、角膜の炎症を起こす原因にもなります。 普通のプラスチックレンズも、一般の色のついたサングラスもレンズを透過して角膜まで届きます。 》 岡本 これもおかしいです。 「もっとも普通の」プラスチックレンズであるCR39でも、波長360nmくらいまでのUVは 100%吸収(カット)します。そこに色がついていれば、さらに吸収率は高くなります。 もしも、いまメガネやサングラスに一般に使われているレンズで320nmよりも短いUV−Bを吸 収できないも のがあるのなら、そのレンズの材質名を教えてください。(質問3) 《UV-A 320nm〜400nmの紫外線 肌を黒くする紫外線で、長い年月の間に水晶体に吸収され白内障の 原因の一つにもなります。レンズを透過して水晶体まで届きます。》 岡本 これもおかしいです。 この文の「レンズ」というのはUVカットを謳っていないレンズだと思いますが、 たとえばUVカッ トと言っていないごく普通のCR39でも、UV−Aの約8割くらいは吸収してしまいます。 それはその種のレンズの分光透過率曲線を見れば明らかです。 そういうレンズは、UV−BのすべてとUV−Aの8割程度について、水晶体までの到達防ぐのは もちろんのこと、角膜までの到達も防ぎます。 貴殿はなぜ、上記引用のような間違いを自店のHPに 書かれたのでしょうか?(質問4) 《しかも、色の濃いレンズほど瞳が大きく散瞳するので通常量以上のUV-Aが届きます。》 岡本 これも実に粗雑な論です。 これは「色が濃いレンズはかえって紫外線を水晶体にまで取り込む」という テレビの健康番組などで流されてから一般に流布した俗説を専門家(AAA級およびSS級の認定眼鏡士)で あるはずの貴殿がなぞっているだけに過ぎません。まず、色が濃くて瞳孔が開き気味になったとしても、 (A)そのレンズ自体のUV吸収性能が十分であれば、レンズを通して目に入る光線については、 まったく心配はないわけです。 (B)そして、いわゆるUVカットを謳っていないCR系のレンズでは、もともとUV−Bは100 %吸収し、 UV−Aでも80%程度は吸収できるのですから、そこにさらに、濃い色がついているの であれば、 UV−Aも9割以上は吸収でき、レンズを通して目に達する紫外線はすべて問題がなくなります。 ということは、要するに、この「濃い色のサングラスだと瞳孔が開くから云々」というのは、 レンズの大きさが不充分で、レンズの周り(枠の周り)のすきまから目に入る紫外線に関する話な わけです。であれば、次のことが実態を表す記述となるのです。 1)レンズの種類に関係なく、レンズ(枠)と顔のすきまが大きくなるサングラスほど、角膜まで達す る光線(紫外線)の量は増えるのだから、まず、角膜に対する紫外線の害を防ぐには、 顔と枠とのスキマの少ないものを選ぶべきである。 2)その場合、すきまの大きさが同じであれば、色が濃いものほど瞳孔が大きくなるので、メガネの 周りのすきまから水晶体にまで入る紫外線は増える。(すきまから入って角膜に達する紫外線 の量は、瞳孔の大きさとは関係がないからレンズの色の濃さとは関係がない) 3)しかし、色の濃さを云々するのは、普通の日本人の場合は屋外で必要時に使うサングラスに関 してであろうから、それはUVの短期的な目に対する悪影響を防ぐための物であり、そうなると それはUV−Aとは関係がなくて角膜に対するUV−Bに関することなので、そのレンズについ ては、UVカットを謳っていない普通のレンズでも問題はなく、むしろ眩しさよけの性能をどこまで 必要とするかということでレンズの濃さを選べばよいのである。 すなわち、上記の1)にのみ留意をすればよく、2)の件は関係がないことになる。 4)だから、たとえば、「今度旅行にいくときにサングラスを掛けるのだが、紫外線の害を防ぐために 色の濃いものよりも色の薄いものにしたい」という考え方は、まったく誤りであり、その場合なら、 顔とのスキマの少なくなるものを選ぶべきなのである。また、長期的な水晶体へのUV−Bと UV−Aの害を防ぐために常用するメガネ、あるいは屋外で常用するサングラスが必要であれば、 そういうサングラスレンズのUV吸収性能ということで言えば、UVカットを謳ったものと、謳ってい ないものの差は、ごくわずかだと言えるでしょう。 なぜなら、謳っていないものでも、水晶体への 悪影響をもたらすというUV−Aの8割を吸収できるのですから。 5)それよりもむしろ、目に対するUV−Aの長期的な害を防ぎたいのなら、メガネの周りのスキマから 入りこむUVを減らすために、なるべく大きめのメガネを掛けて顔とメガネのすきまを最小限にする ことを勧めることが理にかなっているはずです。 その方が、UV−Aの吸収率の少しの差よりも、 目に入る紫外線の量の差をずっと大きく左右しますから。 貴殿はそう思われませんか。 思われないのでしたら、その理由をおたずねします。(質問5) 《紫外線カット機能をもたせたレンズでも、溶接作業など特殊用途の紫外線、レーザー光線、 X線などから目を守る保護機能は持っていませんのでこれらの場合には使用しないで下さい。》 岡本 溶接の場合には、紫外線カットが十分であっても、色が薄ければまぶしくて使い物にならないから ダメなわけ です。 しかるに、この記述では紫外線を400nmまですべて吸収するレンズでも溶接作業の場合には紫外 線で目をやられるかのような表現です。 あるいは貴殿は、濃い色がついていて紫外線吸収能力が十分な レンズでも、溶接に使ったらそれだけでは目を保護できず、他の何らかの性能がレンズに要求されると主張 なさるのでしょうか。 そうであれば、どういう性能が必要なのかをお尋ねします。(質問6) |
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