(株)アサヒオプティカルさんへの質問    

         (株)アサヒオプティカル様 広告担当者様   平成15年11月7日

                 眼鏡公正広告協会 会長  堀田好孝
                                                  http://www.ggm.jp/gkkk/

  貴社ますますご清祥のことと存じます。
私どもは、眼鏡業界企業の広告を公正で明確なものとすることにより、
業界全体への 一般ユーザーからの信頼性を高めることを念願として活動しているグループです。
貴社が平成15年11月号の月刊『文芸春秋』に掲出されましたカールツァイスレン ズの広告につき、
疑問を感じた点がいくつかありますので、ここに謹んで質問をさせていただきます。


1.当該広告に「毎月10万人以上の方が眼鏡店で指名購入されています……。」と してありますが、
  それは下記の2とおりのうち、どちらの意味なのでしょうか。
  A.眼鏡店において、顧客がメガネを枠とレンズの組で、あるいは、レンズのみを 注文する際に、
    販売員がメーカー名を出す前に顧客の方からカールツアイスの名を挙げて注文をする人が、
    毎月10万人以上いる。  
  B.上記Aのケースと、その他に、販売員がカールツアイスのレンズを名を挙げて 勧めたので、
    「それならそれにしてください」ということになる(顧客がカールツア イスの名を口にするか
    どうかは別として)例も含めて、毎月10万人以上の人がカー ルツアイスのレンズを購入している。

2.上記1.の回答がAであれば、それはどのような調査によって判明したのかをお 尋ねいたします。

3.上記1.の回答がBであれば、次のことをお尋ねいたします。
   3−1.たとえ顧客が「カールツアイス」の名を口に出したとしても、
      販売員か らそれを勧められてからその名を言ったのであれば、そういう購入決定のしかたを、
      一般の社会通念及び国語では「指名購入」とは言わないのではないでしょうか。  
   3−2.10万人のうち、販売員からカールツアイスの名を聞く前に顧客の方からその名を出した人は
       どのくらいの割合でいるのでしょうか。また、その割合の数値 の根拠は何でしょうか。

4.当該広告に「優れた設計による薄さ、軽さの違いは眼と頭の疲れが違います」と してありますが、
   これについてお尋ねします。

    4−1.これは変な日本語だと思います。
       「優れた設計による薄さ、軽さの違いは、眼と頭の疲れを軽減します」
        という文ならおかしくありませんが、そうい う意味で書かれたのですか。
    4−2.薄さ軽さが頭と眼の疲れを軽減させるということの研究論文などのデータ があれば、
       開示していただければ幸いです。レンズを薄く軽くすることによる掛け心地の改善というのな
       らわかるのですが、それらが頭と眼の疲れの軽減に関係してくる ということについては、
       こういうふうに断定できるとは思いませんでしたので、それ について詳しく知りたいのです。

5.当該広告にカールツアイスのレンズと「従来のプラスチックレンズ」の薄さの比較写真が
  載っていまして「写真は、近視用、同一度数にて比較したものです。累進多焦点老眼用では
  一般レンズは厚さの差が更に大きくなり重くなります」という説明 がしてあります。
  これについてお尋ねいたします。  

   5−1.この場合の「従来」とはいつを基準にした「従来」なのでしょうか。
   5−2.その「従来」には、これよりも薄くなるレンズはなかったのでしょうか。
   5−3.現在はこんなに厚いプラスチックレンズは、もうどこのメーカーからも発売されていないのでしょうか。
        そうでないとすれば「従来の」という表現は正しくな いと思うのですが、いかがでしょうか。
   5−4.説明文における「一般レンズ」とは、この写真に使われている薄い方のレ ンズよりも
       屈折率が相当に低いレンズのことを指すと思われますが、そうであればこういう差が
       出るのは当たり前のことです。    
       これはレンズに詳しくない一般ユーザーに読んでもらって、この場合の「一般 レンズ」を
      「他社のレンズ」のことだという誤解をしてもらうことを狙ったものでは ないでしょうか。
       そうでないとすれば、なぜそういう誤解を防ぐような記述をされな かったのでしょうか。
   5−5.カールツアイスのレンズの薄さを公正に写真で表現するのであれば、
        現在の社のもっとも薄いレンズとの比較でなされるべきだと思いますし、
        それをユー ザーも望むのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  
   5−6.これは現在あるレンズの中のもっとも厚いレンズと、カールツアイスの最 も薄いレンズとの
       厚さの比較ですが、そういう比較が持つ意味は何でしょうか。  
   5−7.「この比較写真は、レンズに関して詳しい知識を持たない一般の読者に対 して、
       いまアサヒオプティカルのレンズは他社の薄型レンズに比べてもこれだけの厚みの差を
       持っているとか、あるいは他社のレンズはみなこんなに厚いがカールツアイ スなら
       こんなに薄いと誤認させることを意図したものだと見なせるから、この広告は 公正さを欠く」
       という批判があれば、それに対してどのようにお答えになるでしょう か。

6.当該広告に、非球面設計のレンズとそうでないレンズでの比較写真(橋を写した物)が
   掲載されていますが、これについて質問をいたします。  

   6−1.写真のキャプションでは「先進の非球面設計は歪みが少ない」となっていますが、
       写真では歪みの差ではなくボケの差が表現されています。これはなぜでしょ うか。
   6−2.これは貴社の商品での同一度数での比較ということですが、視野(写真) の
       中央部でも鮮明さがまったくといってよいほどの違いがあります。
       貴社の球面設計 のレンズは非球面設計のレンズに比べて、中央部でもこれほどに
       顕著なボケが出るの でしょうか。
   6−3.もしも、これがイメージ図だということであれば、その旨を明記されな かったことに関して、
       理由をお尋ねいたします。
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(要望)当協会は、貴社に対して、今後一般に向けて広告をするにあたって、
    読者が誤解をしないような配慮をした、フェアーで正確な広告をお願いしたいと思います。
    なお、上記の質問は公開質問としまして、まず、私ども眼鏡公正広告協会のホームページに
    掲載させていただきます。それから日本眼鏡技術研究会会誌にも掲載いたし ます。
     今月中に回答をいただけましたならば、それも併せて掲載いたします。

  
  
 
    アサヒオプティカルさんからは返事は来ていませんが、
  月刊文芸春秋の12月号では、同社の広告は、
  別の商品(サングラスレンズ)の広告に変わっていました。