eglasses(大阪市西成区(株)黒田屋)さんへの質問

   eglasses(大阪市西成区(株)黒田屋)様
            2006.6.6 眼鏡公正広告協会 岡本隆博  http://www.ggm.jp/gkkk/

    貴店ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
   貴店のホームページ http://www.eglasses.co.jp/(2006.6.6現在)を拝見しまして、
   疑問に感じたことがありますので、ここに謹んでお尋ねいたします。

   貴店のHpでは商品の性能や調製技術に関して詳しい説明をしておられますが、
   フィティングの重要性については、ほとんど述べておられません。
   その理由をお尋ねいたします。(質問1)

   レンズを枠入れする場合に、ヒズミ計でチェックするべし、とおっしゃるのは私も賛成ですが、
   ヒズミ計を設置していない店に対して貴殿は「ふざけるな」と書いておられます。
   私は個人対応のフィッティングを初めから放棄してサングラスや矯正枠を通販する店に対して
   「ふざけるな」と言いたいのですが、そんな私に対して、どうお答えになりますでしょうか。
   (質問2)


   スポーツグラスを度つきにしたら具合が悪くなるのはレンズカーブが強いせいだと説明を
   しておられますが、たとえば8カーズで度つきにした場合、レンズの光軸と視線との斜交度が
   相当に少なければまったく見え方に問題がなく、というよりも、きわめて自然な空間視覚が
   得られます。逆に2〜3カーブ程度のゆるいカーブの度つきレンズを、そりの強い枠に
   入れるとカーブの強いレンズよりもはるかに違和感のある視界となります。
   メガネの度つきレンズはカーブが強ければ強いほど、見え方は自然で違和感が少なくなる、
   というのは眼鏡光学の初歩的知識です。「レンズ光軸と視線の斜交(あるいは、レンズ光軸
   の開散の程度)」と「カーブの強さ」を取り違えて貴殿は説明しておられると私は思いますが、
   貴殿はそう思われませんでしょうか。(質問3)

   「レンズの種類と見え方」として、球面設計と、外面非球面と、両面非球面の3者を比較した、
   白黒の格子模様の図を掲載して説明を加えておられますが、あの図は貴殿(貴店)が撮影
   されたものでしょうか。(質問4)

   そうであれば、格子模様とレンズとの距離、レンズは凸面をどちらに向けてあるのか、
   レンズとカメラとの距離、についてお尋ねします。(質問5)

   そういう光学状況はメガネで見たときと、ほぼ同等なのでしょうか。(質問6)

   あれがもし、貴殿ご自身の撮影によるものではないとすれば、どこから転載したのか
   ということをお尋ねします。(質問7)

   転載したものであれば、原著者が誰であり、貴殿が原著者に転載する旨の許可を
   得ておられるのかどうかということをお尋ねします。(質問8)

   その説明文に「−2.50Dまでなら云々」という説明があるのに、歪曲の出方はプラス
   レンズでの出方です。これでは、マイナスレンズで感じる歪曲がこういう糸巻き型歪曲で
   あるとの誤解を生じるおそれが多分にあります。なぜここにマイナスレンズで出る樽型
   歪曲の出方をしめした図を掲示されなかったのでしょうか。(質問9)

   眼鏡レンズの周辺部で生じる歪曲(収差)は、同じ度数でベースカーブが同じであれば、
   球面設計よりも、外面非球面の方が若干減りますし、内面非球面や両面非球面に
   すればさらにやや減ります。
   しかし、外面非球面や両面非球面で、薄さを求めるあまりベースカーブを浅くしすぎると、
   球面設計のレンズよりも歪曲が増えることがあります。(日本眼鏡技術研究会雑誌61号
   「眼鏡レンズの歪曲収差について」をご参照ください)
   ですから、球面設計よりも非球面設計の方が歪曲が少なくなると断定する説明は誤りなのです。
   ただし、同じ程度の厚みで作るのなら非球面の方が歪曲は若干減らせる、あるいは、同じ程度
   の歪曲で作るのなら非球面の方が若干薄く作れるということなのです。
   これらのことを貴殿はご存じないのでしょうか。(質問10)

   なお、周辺視した場合の乱視による歪みが両面非球面できわめて少なくなると説明をして
   おられますが、これもおかしな説明であり、両面非球面ではリスティング則を考慮して周辺視
   による乱視の矯正効果の低下をうまく減殺してある物が多いということなのです。

   また、貴殿が「ディセンターレンズとプリズム」の記事で説明しておられるのも、少し変です。
   プラノのレンズで、カーブがいかに強くレンズの厚みがいかに厚く、屈折率がいかに高くとも、
   レンズの光軸と基準視線が斜交していなければ、少なくとも正面視では像位置のずれは生じないし、
   あの計測器でも水平方向への光点の位置ズレは出てきません。
   あの計測器でプリズム誤差のような光点の位置ずれが出てくることの理由は、正面視の
   視線とスポーツグラスの枠に入ったレンズの光軸とが合致していないからなのです。
   (プラノレンズにも光軸があることは、もちろんご存じですよね)
   その場合、同じ斜交角度であれば、厚さが厚いほど、屈折率が高いほど、像の位置ずれは
   増えますが、視線との交点における斜交書くが同じならカーブの強さは関係がありません。

   ただ、一般的に、レンズカーブが強い場合ほど、レンズが大きめでソリの強い枠にレンズを
   入れた場合に、正面視の視線とレンズ光軸との斜交角度が大きくなるので、あの記事で
   話題にしている像のズレも増えるわけです。

   たとえば、厚めのフラットなガラス(カーブはゼロです!)を傾けてものを見てください。
   当然ながら位置がずれて見えますよね。

   そのずれの大きさは、斜交角度、厚み、屈折率によって左右されます。
   しかし、それはプレンティスの公式でその近似値が計算されるような真性のプリズム
   作用(透光体が片薄であることにより起こる)によるものではなく、いわば疑似プリズム
   とでもいうべき作用によるものです。

   スポーツグラスのプラノレンズによって生じる像位置のずれは、そのほとんどはそういう
   疑似プリズムがひきおこしているのです。そして、それを修正するには、普通のプリズム
   によるのですが、疑似プリズムによるずれの量(視線と垂直な面における)は距離に
   関係なく、普通のプリズムによるズレの量は距離に比例しますから、その修正具合に
   関しては、「何m先での」ずれがどうこう、という基準を設ける必要があるのです。

   ソリのついた枠に入ったプラノレンズによる像のズレがもしも真性プリズムの作用で
   あるのなら、レンズに入れた真性プリズムでそれが修正されているかどうかを見る場合、
   距離は決める必要がないのです。
   疑似プリズムと真性プリズムの差をご理解いただけましたですか。(質問11)