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レンズのひずみについて


みなさんは、できあがったメガネのレンズの大半のものには
ひずみが入っている、ということをご存じでしょうか。


最近は、メガネのレンズのほとんどはプラスチックです。
プラスチックレンズは枠でしめつけられると、
多かれ少なかれひずみます。


そうでないと、枠に入っているレンズは、
少しの衝撃で脱落してしまいます。




もっとも、ふちなしメガネだと、
穴付近に少しひずみが入るだけだし、
ナイロン糸で巻いたハーフリムの場合には、
レンズの周辺部全体に弱いひずみが認められるだけで、
ひずみの強さの点はまずOKなのですが、

いわゆる「フルリム」枠の場合には、
ヘタな入れ方をすると、
レンズの周辺部、あるいは、
レンズ全体に異常な強いひずみが入ることがあります。




ただし、
レンズの歪みが常に
眼精疲労の原因になるというわけではなく、
いわば
「強い異様なひずみ」
「不可避ではないひずみ」
が眼精疲労を引き起こすことがあるのです。



実際、
他店で買われてそういう異様なひずみが入ったメガネ
での眼精疲労について、
私は相談を受けたことが何度かあります。



まじめで、
技術的にちゃんとした店なら、
レンズ加工場に

ひずみ計
(偏光板を2枚組み合わせてある)

を置いて、
それによって自店で製作したいメガネのひずみをチェックし、
少しひずみが多いな、と思ったら、
もう少しレンズを小さめに削るなどして、ひずみを減らします。



ところが、真面目さが足りなかったり、
技術的な知識が不十分であったりする店の場合には、
ひずみチェックをしません。



ですので、
メガネ店に「おたくの店にはひずみ計がありますか」と尋ねてみると、
その店の技術レベルがある程度分かるのです。

「ひずみ計はない」という答えであったり、ひずみ計についての知識が
ないようであったりしたら、その店からはメガネは買わない方が無難
だと私は思います。




               ●




いま、次のような由々しきことが、
流行しつつあります。

累進レンズなどの高級レンズで増えつつあるのが「玉型加工」です。



メガネ店段階でのメガネの作りかたとしては、
普通はレンズメーカーから丸いままで送られてきたレンズを
メガネ店で削って枠に入れるのですが、

玉型加工の場合には、そうではなくて、


メガネ店から
枠のレンズが入る部分の形や大きさを
データ通信で、あるいはFAXの図
を送って、
メーカではそれを元に
枠のレンズ部分の形
と大きさに合わせてレンズを削り、
それをメガネ店に送ります。



その場合に、メーカーで、
常にドンピシャリの大きさに削るというのは無理なので、

(それがウソかホントかは、
実際にレンズの枠入れ加工をしたことがある人なら皆さんなら
わかるでしょう)

やや小さめになることを避けて
(小さめだと、レンズが脱落しやすくなるので)
安全策としてやや大きめのものをメガネ店へ送ります。



そのようにして送られてきたレンズを、
メガネ店で、それを枠に入れてみて、
ひずみ形でチェックして、
ひずみが強ければ手摺りで
(もう、機械摺りは無理)
ひずみが適切な程度にまで減るようにしているメガネ店も
中にはあるかもしれませんが、
私見では、そういうメガネ店は少ないと思います。





その理由は下記のようなことです。


・レンズのひずみについての意識を持っている店が少ない。
(ひずみ計を置いていない店は、ほとんどそうです)

・手摺りの技術を持っていない店も多い。
(そういう店は、送られtきたレンズがやや大きいかな、と思っても、
そのままねじ込んで枠入れをしてしまう)


ですので、メガネ店に次のような質問をしてみて、

「貴店では、
店にある枠のデータをレンズメーカーに送って、
メーカーで玉型加工をしてもらうというシステムを
よく利用していますか」



答えが「イエス」なら、送られてきたレンズをそのまま入れている
のかどうかというのが、問題になってきます。


玉型加工をよく利用する店でも、玉型加工で送られてきたレンズを
ひずみ計でひずみをチエックして、枠入れした場合に悪そうな
ひずみがある場合には手で追い摺りをしているところもあるよう
です。それなら問題ありません。


ですので、先に述べた
「ひずみ計がありますか」の質問には「いいえ」で、
しかも、玉型加工をよく利用する店、
というのであれば、かなり問題だな、
と思っていただくと良いと思います。


玉型加工については、私はむしろレンズメーカーの方に問題があって、
ひずみのチェックもせずに、送られてきたレンズをそのまま枠にギュッと
入れ込んでしまう店に対しては、玉型加工を利用させないという見識が
あって、しかるべきだと思うのです。



なお、日本眼鏡技術研究会の会員であるH.I.さんは、H社の玉型加工
のレンズについては、9割が追い摺りが必要、と言っておられます。


メーカーの打ち出しとして「玉型加工なら、そのまま枠に入れて
くださってけっこうです」ということになっているのかどうかは知りませんが、
「玉型加工でも、ピッタリの大きさは無理です。必ずひずみをチェックして、
追い摺りが必要ならそれをしてください。手摺りの技術のない店は、玉型加工
を注文しないできださい」としていただきたいものです。


(参考)

ひずみチェックをしない店の場合でも、玉型加工ではないレンズ加工であれば、
手摺りの技術を持たなくても、枠入れの手応えで、まだ少し大きいかな、と思ったら、
機械で追い摺りをして、丁度良さそうな無理のない大きさまで仕上げることはできる
のですが、玉型加工では、機械での追い摺りができないので、手摺りの技術がない
店(加工担当者)の場合には、やや大きいまま(悪いひずみが入った状態で)で枠入
れ加工をすませてしまうケースが多くなり、
眼精疲労を呼ぶおそれのあるメガネが多くなるのです。

ですので、

「ひずみ計がない(ひずみチェックをしない」



「玉型加工の注文が多い」

との組み合わせは、たいへんこわい組み合わせになるわけです。





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メガネのアイトピア店長・岡本隆博は、
全国の眼鏡屋さん向けの技術教育を行っております
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(日本眼鏡教育研究所)