左右差6Dを越える強烈な不同視
岡本隆博

強烈な不同視でもうまく矯正できた事例です。

62歳の男性で、不同視メガネ研究会の公式HPをご覧になって
当店に来ていただいたかたです。

「白内障の手術をしてから
メガネの処方を眼科でお願いしたところ
『あんたの目にはメガネは絶対無理!』と
一刀両断で切り捨てられ、
いま、両目ともにはっきり見たいときには
コンタクトを使っているのですが、
メガネのほうが便利なので、
ネットサイトを見て、
一縷の望みを持って、ここへ来ました」、
とのことです。

少し前に右眼のみ白内障手術をして、
眼内レンズが入っているそうです。

いま、ほとんど裸眼で生活をしておられるのですが、
車の運転をするときには、コンタクトを使うそうです。

ご希望としては、
・コンタクトではなくメガネで
運転ができたら助かる。
・パソコンや読書の場合も、メガネでうまく見えたらうれしい。

所持眼鏡:なし

さっそく検眼をしてみました。

5m完全矯正 (両眼開放屈折検査)
R=(1.5×S-1.25 C-0.75 Ax125)
L=(1.0×S-8.50 C-1.00 Ax40)
   R:4△B.D.

  
    *この斜位の値は、光学的斜位が検出されてしまうことを 
     防ぐために、「裸眼での自覚的交代カバーテスト」と、
     「右はこの矯正値、左は乱視はそのままでSを
     -1.25にした場合の濃いレンズ法」と、
     二つの方法により、このP値とした。
     (濃いレンズ法については、下記の拙著書に説明がある。
     『眼鏡処方の実際手法』
     http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/books.html

右眼は手術前は、-16Dくらいだったそうです。
手術にするにあたって、右眼を眼内レンズでどういう度数に
するかということについては、
「自分はパソコンをよく見ます、と言ったら
眼科医が、では裸眼でパソコンを見る
のに便利なようにしましょう、とおっしゃり
運転のときには、コンタクトでいけます、
ともおっしゃいました」、とのことです。

それで、遠用と近用を、装用テストも
十分に行なって、下記のように処方し、
製作しました。

 *装用テストは、頂間距離を最小限にまで短くセットできる、
  軽量万能試験枠(サンニシムラ#426)を使いました。

遠用
R=S-1.25 C-0.50 Ax120
L=S-8.00 C-0.75 Ax40
   R:4△B.D.(天地中央から3mm上でこのP値)


近用
R=S+0.50 C-0.50 Ax120
L=S-5.75 C-0.75 Ax40
   R:4△B.D.(天地中央から2mm下でこのP値)


ためしに、この上下プリズムを取り除いてみますと、
「まったく見え方がおかしい」とのことで、この
上斜位のプリズム矯正があるからこそ、
これだけの左右差があっても、掛けられるメガネに
なっているのだ、と言えそうです。

フレームの選択においては、
強度不同視なので、
玉型サイズが横にも縦にもなるべく
小さめのもの、という条件で、いろいろお見せして
遠用、近用、ともに、コラッジオ(44□20)に決まりました。

http://usukal.biz/coraggio.html

レンズは、どちらのメガネも、Rは低屈折率のプラスチック、
Lは、高屈折率のプラスチックとしました。

出来上がりをお渡しするときには、もちろん、目の使い方として
「このへんを視線を通してものを見てください」、ということを
申し上げました。

また、フィッティングにおいては、右眼よりも左眼のほうの
頂間距離をやや短くなるように、
すなわち、左眼は、まつげすれすれまで近づけ、
右眼は、それよりもやや長めになるように調整しました。

網膜像の大きさの左右差を少しでも少なくするためと、
光学中心よりも上や下に視線が来た場合の
上下プリズム誤差をなるべく少なめにしたいという
ことから、その状態のフィッティングにしたわけです。

できあがったメガネをお渡ししてから2日のちに、
「調子がいいです。運転もちゃんとできます」
との、お喜びの声をお聞かせいただきました。

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